今年を象徴する漢字は「偽」という字が選ばれた
食の偽装が多く報道された年でもある。そして年金問題も「最後の一人まで支払う」などと公約しておきながら、結局は595万件の名寄せができませんと発表があった。
いま、年金制度は、帆柱は折れ、羅針盤を失い、嵐の中をただよう帆船のように見えます。国民から見ると大丈夫かなと、不安にかられることもあります。年金制度を司る行政のすべてが国民をないがしろにしたかのようにわめかれ、年金制度への不信をかきたてられ、そのあげく、年金制度をすべてつくり直せなどと政治、マスコミの一部でいわれると、心配になるのも無理からぬ話です。
現実はほんどどの高齢者が年金制度を頼りに老後の生活を送っています。また大勢の人がきちんと保険料を払っています。この人たちを不安におとしいれるだけの年金制度の改革論議は決して正しい主張とはいえません。年金で生活している人がいるということをしっかりと見すえた改革でなければなりません。こうした事態をまねいた最大の問題は五千万件にのぼる保険料納付の記録の問題です。五千万件ということを五千万人と勘違いして日本人の半分、と思った人がいます。また五千万人がおさめた保険料が消えたのか、と思った人がいます。どちらも違います。五千万件の記録がどの人に該当するのか、はっきり、つきとめられない、ということです。
古い記録もありますから死亡した人もいるでしょう。名前をうつし違ったものもあるでしょう。幸い、いろいろな記録をつき合わせ、該当者をさがし出すコンピューターの新しいシステムも予定を早めて動き出しました。これで、どれだけがはっきりするのかは不明な部分もありますが、元はといえば一部のずさんな記録管理がはじまりだけに、年金制度をおおう不安の霧を晴らすため、きちんと、全部の記録の行き先をはっきりさせなければなりません。これがいまの状況を改善するすべてです。もちろん、年金制度を司る行政の仕事、課題ですが、これを見守る国民の側にも問い合わせ、通知に対する素早い反応が必要です。
今回の再調査の結果、納付記録が結びつくと思われる人へのお知らせ、確認はがき、年金加入記録の紹介票をはじめ、年金制度をすでに貰っている人、これから貰う人などにさまざまな問い合わせ、通知があるはずです。こうした問い合わせをほっておいたことが五千万件の一部になっていることを考えれば、問い合わせに対するきちんとした対応が求められているともいえます。同時に五千万件の記録問題は年金大改革の中でいろいろな制度、例えば国民年金保険料の新しい免除制度などが生まれ、はじまっています。普段通りの保険料の納付、給付といろいろなものがあります。それらが粛々と行なわれなければなりません。
一般国民がすべてをすでに知っているとはいい難い面があります。こうした努力を地道に年金制度をつかさどる行政が行なうことで不信も解消されるのです。